最近はどういうわけか「陰謀論」という言葉を多く目にするようになり、
しかも「陰謀論」を否定する論調が多いように思います。
そんな中、2016年3月29日のBS-NHKの22:00~23:00まで、
「幻解!超常ファイル『世界はだまされている!?陰謀論の闇に迫る』」という番組がありました。
これを見た感想は「もっと検証してから番組を製作してください、番組制作者さ~ん」です。
番組の流れは以下のようになっています。
1.陰謀論者の意見を紹介
↓
2.政府などの公的発表を紹介
↓
3.陰謀論者たちは、その公的発表を読んでもいないし、現地に足を運ぶことすらしていないことを強調
↓
4.政府の発表も陰謀論も鵜呑みにせず、両方の意見を疑うことが重要と解説
↓
5.陰謀論を賞賛したヒットラーは、ユダヤ人を大量虐殺する事態を招いた
↓
6.陰謀論で有名なフリーメイソンは、実は単なる慈善団体であり、世界支配を企んでいるというのは100%ウソである
↓
7.もうこれであなたも、陰謀論に騙されることはないですね
こんな調査不足の内容を、
BSではありながらもNHKが製作しているなんて、
信じられません。
その自覚があるからなのか、
この番組放送後は以下のようにネットの反応に敏感だったようです。
番組HPより
「この番組じたいが、CIAや闇の勢力の指令を受けて作られた陰謀では?」という
ネット上の声も拝見しましたが、
残念ながら、指令もなんもありません。
単純にこういうネタが好きだからやってます。
これは番組制作者側の言葉です。
「好きだから」って、「好き」なら色々調べているはずでしょ?
まるでネットで拾ってきた情報を、羅列しているだけのような作りになっています。
もう突っ込みどころ満載ですので、
番組制作者さんもこれを見て反省し、
次回作に生かしてもらいたいですね。
ここからは番組で扱った出来事について検証したいと思います。
目 次
.「9.11テロ」
.陰謀論者の意見を紹介
番組では「9.11テロはアメリカ政府の自作自演?」という、
ネットの話題を取り上げていました。
そして陰謀論者として「神学者デヴィッド・レイ・グリフィン」さんの、
「ビルの崩れ方こそ、政府の陰謀の証拠だ」
という発言を紹介しています。
次に「元アメリカ陸軍少将のアルバート・スタブルバイン三世」さんの、
「ペンタゴンに空いた穴は飛行機に比べてとても小さく、ミサイルなら説明がつく」
という発言を紹介しています。
.政府などの公的発表を紹介
ビルの崩壊は激突した飛行機の燃料の火災により、
鉄骨が熱で溶融して上部の重量に耐えかねて崩壊した、というものです。
それでは以下の爆発のような現象は?という疑問には、
崩壊したがれきがビル内の空気を圧縮し、
圧縮された空気が煙とともに噴出したもの、という結論となっています。
大勢の研究者が検証して公的発表の資料が作成されたと強調する。
.陰謀論者たちは、その公的発表を読んでもいないし、現地に足を運ぶことすらしていないことを強調
このように紹介し、
陰謀論者は何の根拠もなしに陰謀論を唱えているかのように誘導しています。
.政府の発表も陰謀論も鵜呑みにせず、両方の意見を疑うことが重要と解説
陰謀論を否定的に解説する「専門家」として、
宗教学者の辻 隆太朗氏とパトリック・ハーラン(パックンマックンのパックン)の2人で会話が進みます。
パックンは「疑うことは大事」ということを何回も強調していました。
「政府の言うことをそのまま鵜呑みにしない」としながら、
「陰謀論もそのまま鵜呑みにしない」という、もっともな意見を言っていました。
この部分はそのとおりであり、私もまったく同感でした。
そして今までの実際の陰謀をパックンは紹介します。
イラク戦争前の大量破壊兵器は嘘だっていう噂もあったけど、大体の人は政府が多分ちゃんと調べてるよって思ってた。でも結局は大ウソでしたね。
その前はイランコントラとかウォーターゲートとかアメリカ政府の大きな問題もあったし。
次に辻 隆太朗氏はこう言います。
「自分の目で見たことしか信じない」っていう人いるじゃないですか。じゃあお前、自分の目を疑ってはいないのか?って話ですよ。批判的精神を物事にだけではなく、自分自身にも向ける必要があります。
これもまったくそのとおりですよね。
そしてパックンはこのように締めくくります。
政府の発表だけじゃなくて陰謀論に対しても懐疑的な目を持った方がいいわけ。両方疑うことが健全なんで。で、自分を疑うのも大事なんじゃないかな。
この辻 隆太朗氏は陰謀論を否定する書籍も出していますが、
そのカスタマーレビューでは辻氏の調査不足を指摘している書評が多いです。
ちょっと私から見ても、
「陰謀論を否定したいバイアス」がかかっちゃっているように見えました。
.陰謀論を賞賛したヒットラーは、ユダヤ人を大量虐殺する事態を招いた
ヒットラーが賞賛した書物として「シオン賢者の議定書」を紹介し、
それがユダヤ人の大量虐殺という事態につながったとしています。
しかも、この「シオン賢者の議定書」を偽書であると言い切っています。
wikipediaでは以下のように「みられている」としていて、「偽書と判明」と言い切っている番組は不正確と言わざるを得ません。
つまり「ウソで視聴者を誘導している」と言われても仕方のないことをしています。
このようにプロトコルは出所も作者も曖昧だが、後年、幾つかの状況証拠から、いずれにせよ当時フランス国内で諜報活動を行っていたロシア秘密警察の幹部が部下に命じてパリで捏造したものとみられている。
「シオン賢者の議定書」については「今こそ大学生の方々に見てもらいたい(100年前に書かれた世界征服綱領)」の記事でも解説しています。
この「議定書」の出典とされる「第一回シオニスト会議」の目的は、
1948年5月にイスラエル建国という形で実現されています。
これには「ヒットラーのおかげでイスラエル建国を批判する声を黙らすことができた」という声もあるぐらいです。
.陰謀論で有名なフリーメイソンは、実は単なる慈善団体であり、世界支配を企んでいるというのは100%ウソである
これは現在のことを言っているのであり、当時はどうだったのかという証拠ではありません。
高須クリニックの高須院長も入会してるし、鳩山一郎もそうだし、
近年では「あこがれ」で入会している人が多いようです。
セキルバーグこと関暁夫氏も、大橋未歩アナの「フリーメイソンでは?」の質問に「ノーコメント」で貫いています。
本当ですけど>^_^<“@aka_san: @katsuyatakasu コレは本当ですか? RT @livedoornews: 高須院長がフリーメイソンに入会 http://t.co/1vzUl5bT – ライブドアニュース”
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2013年1月23日
だから「当時も単なる慈善団体だ」という誘導には、
いくらなんでも無理があります。
.もうこれであなたも、陰謀論に騙されることはないですね
(辻 隆太朗氏)
歴史上の、これもあれも全部フリーメイソンの仕業っていう話は100%ウソ。
なぜかっていうと、どんなすごい人間だって世の中で起こることを、全部計算して思い通りに動かせるわけがない。
陰謀論っていう考え方は、世の中を意味と理解と秩序で満たす。世の中が間違っているのは誰かのせい。
フリーメイソンなり、イルミナティなり、ユダヤ人なり、あいつらが悪いんだっていう事で解決できちゃうんですよね。
現実の歴史で、プロトコル(シオン賢者の議定書)のように、ニセの証拠で陰謀と決めつけて、弾圧に結びついた。ちょっとどうかなと思いますね。
アメリカでも日本でもユダヤ陰謀論っていうのは、陰謀論のメインといいますか、主役みたいな形ですごく流行ってはいるんですけど、じゃあ、そのユダヤって何なのってなると、もともと離散の民っていって、世界各地に散った人たちですから、出身地も違いますし見た目も違う。当然、考え方も違う、っていうぐらい、バラバラな個性豊かな人たちです。
「俺たちは違うんだ」って言っても「お前らはユダヤだろ」で終わってしまう。
そうやって記号化して理解したつもりになって、その目線で実際にいる人たちを批判する。弾圧する。
これがまさに社会アイデンティティ理論につながる。
陰謀論的な「誰かが悪いんだ。こいつを排除すれば解決するんだ」っていう考え方がどんどん発展していっちゃうと、自分と同じ考え方したやつしか認めないぞ。そうなると、私たちの側も、その多様性を許されなくなってきちゃうんです。陰謀論がどんどん、社会の風潮として当然のものとしてなっちゃうと、そういう排他的な傾向に、社会全体が進んで行きかねないんじゃないかなとは思います。
「ニセの証拠」って、知りもしないのに、よく言い切りますよね。
「と言われている」となぜ言えないのか?
彼への批判者が多いのは、こんなところから来ているのでしょう。
.番組の検証
まず「9.11」の陰謀論者の主張なのですが、
以下の7つを強調しています。
そしてこれらを一つずつ否定することで「陰謀論は間違いだ」と導く論調なのですが、
ここに「9.11」最大の疑問が書かれていません。
この番組の最大の悪質性をここに見ることができます。
その最大の疑問とは、
「世界貿易センター第7ビル」(別名:ソロモン・ブラザーズ・ビルディング)がなぜ崩壊したのか?
です。
「世界貿易センター第7ビル」崩壊 youtubeより
【決定的】WTC7は制御解体された—–建築家・エンジニアたち youtubeより
この最大の疑惑を視聴者から隠し、
都合の良い事例ばかりを紹介するという番組作りは、
NHKらしくない、と言わざるを得ません。
しかも「陰謀論のウソ」の象徴のようにフセイン像の引き倒し映像を使ってますが、
これこそ「本当の陰謀」だったではありませんか。
詳細はフセインの銅像の引き倒し映像。
これらを見るだけでも、
しっかりとした調査が不足していたとしか言いようがありません。
また、フリーメイソンとしてモーツアルトを挙げていましたが、
ブラームスも紹介してほしかったですね。
(モーツアルトの死については、いつか書こうかなと思っています)
高須先生の年俸は50億円との噂ですから、寄付のかたちで台湾熊本の震災でポケットマネーを使うことはテレビ番組のスポンサーになるより費用対効果はあるかと思われます。
フリーメイソンにはロッジやらどの派閥やらで階級の階層が異なり、一番上の位の方でも特に選ばれた方しか本当の使命やら暗号を教えてもらうことができません。
大半の会員は自身の名誉、ネットワークの拡大、多分あるかもしれない崇高な目的の為に参加されていると思われますが、本当に彼らが目指しているのは満足感が満たされない一般人に富や偽善をひけらかし、互いにいがみ合う原因などを提供することにあります。
>AAAAさんはやはり戦後の3S作戦とかで頭をやられたタイプでしょうね。